マーケティングに取り組む際、「ターゲット」と「ペルソナ」という言葉に直面することは少なくありません。似たような意味に思えるこの2つの概念ですが、それぞれに明確な違いがあり、適切に理解し使い分けることが非常に重要です。
特にマーケティング初心者にとって、「ターゲット=顧客層」「ペルソナ=理想の顧客像」といった基本的な捉え方から始めることで、施策の方向性を明確にする手助けとなります。誤った理解のまま進めてしまうと、効果的な戦略が立てられず、結果として成果につながらないケースも少なくありません。
本記事では、「ターゲットとペルソナの違い」と「それぞれをなぜ使い分ける必要があるのか」を初心者の方にも分かりやすく解説します。基本から丁寧に整理していきますので、マーケティングの基礎力を高めたい方はぜひ最後までお読みください。
ターゲット、ペルソナとは?
マーケティングの基本において、ターゲットとペルソナはしばしば混同されがちですが、それぞれ異なる役割を持っています。まずはその定義を整理しておきましょう。
ターゲットとは
ターゲットとは、自社の商品やサービスを届けたい「顧客層」のことです。たとえば「30代の働く女性」「中小企業の経営者」といったように、年齢・性別・職業・年収などの属性で分類される、比較的広い範囲を指します。市場の全体像を把握するために必要な情報であり、戦略の大枠を決める段階で活用されます。
ペルソナとは
一方、ペルソナとは、ターゲットの中から典型的な顧客像を1人の人物として詳細に描いたものです。名前、年齢、職業、家族構成、趣味、ライフスタイル、悩みなどを具体的に設定します。これは、実際の顧客に限りなく近い「架空の人物」を想定することで、より効果的なコミュニケーションやサービス設計が可能になるからです。
違いを簡単に整理するとターゲットは属性で区切った「集団」、ペルソナはその集団を代表する「具体的な一人」となります。
たとえば「20〜30代の女性会社員」がターゲットだとすれば、「都内で働く28歳のWebデザイナー、趣味はカフェ巡りで最近在宅勤務に切り替わった」というのがペルソナです。
このように、ターゲットとペルソナは目的と活用方法が異なるため、両方を正しく理解して設計することが求められます。
なぜペルソナとターゲットを使い分ける必要があるのか
ターゲットとペルソナの定義が理解できたところで、次に気になるのは「なぜ両方を使い分ける必要があるのか」という点ではないでしょうか。それぞれには異なる役割があり、適切に使い分けることでマーケティングの精度が格段に向上します。
ターゲットは「全体像の把握」に必要
ターゲットを設定する目的は、自社の商品やサービスが「誰に向けたものか」を明確にし、市場全体の方向性を把握することにあります。これにより、広告の出稿先や商品の価格帯、販売チャネルなどの大枠が見えてきます。たとえば、ターゲットが「30〜40代の育児中の女性」であれば、育児系メディアやSNSでの広告展開が効果的と考えられます。
ペルソナは「具体的な施策の設計」に必要
一方で、ペルソナの役割はさらに具体的です。ペルソナを描くことで、その人物がどんな悩みを抱え、どのような言葉に共感し、どんな行動をとるのかを想像しながらコンテンツやメッセージを設計できます。たとえば同じ「30〜40代の育児中の女性」というターゲットでも、「仕事と育児の両立に悩む会社員」と「自宅で子育て中心の専業主婦」では求める情報や価値が異なります。
このように、ターゲットは戦略の土台を築くためのものであり、ペルソナは具体的な戦術を設計するためのツールです。両方を併用することで、「誰に」「どのように」届けるべきかが明確になり、結果として商品やサービスの訴求力が高まり、成果につながります。
初心者でもできる!ペルソナとターゲットの設定方法
マーケティングの成果を高めるには、ターゲットとペルソナの適切な設定が欠かせません。しかし、いざ設定しようとすると「どこから手をつければいいの?」と悩む方も多いでしょう。ここでは、初心者でも取り組みやすい手順と注意点を紹介します。
ステップ1:ターゲットの設定
まずは大枠から。以下のような項目を基に、自社の商品やサービスが「誰に向いているか」を整理してみましょう。
年齢層(例:20〜30代)
性別(例:女性)
職業(例:事務職、フリーランスなど)
居住地(例:都市部・地方など)
趣味・関心(例:健康、美容、旅行など)
この段階では広めに捉えてOKです。市場全体の傾向を掴むのが目的です。
ステップ2:ペルソナの作成
次に、そのターゲット層の中から「代表的な1人」を具体的に描きます。以下のような項目を盛り込むとリアリティが増します。
名前(架空でOK)
年齢、性別
職業、年収、勤務スタイル
家族構成、ライフスタイル
悩みや課題
よく使うSNSやメディア
たとえば、
田中美咲さん(28歳・都内在住・Webデザイナー)
平日は在宅勤務中心で、育児と仕事の両立に苦戦中。情報収集はInstagramとnoteを主に利用。時間がないため効率的に情報を得たいと考えている。
ここまで詳細に描くことで、コンテンツの方向性がグッと明確になります。
注意点としてペルソナを作成する際によくあるのが、「理想の顧客像」に偏りすぎてしまうことです。たとえば、実際には存在しないほど都合の良い人物像を設定してしまうと、現実のユーザーとかけ離れた施策になりがちです。これを防ぐには、実際の顧客データやアンケート、インタビュー結果などを活用し、事実に基づいた設定を心がけることが大切です。
もうひとつ注意したいのが、ペルソナが複数存在してしまい、方向性がぶれてしまうケースです。基本的には1つの商品やサービスに対して、ペルソナも1人に絞るのが効果的です。もし複数のターゲットが存在する場合は、キャンペーンや施策ごとに分けて考えることで、情報の整理と発信内容の一貫性を保つことができます。
まとめ
この記事では、「ターゲット」と「ペルソナ」の違いと、それぞれの役割について解説してきました。ターゲットは広い視点で市場の方向性を掴むための指標であり、ペルソナはより具体的な施策設計に役立つ人物像です。どちらか一方ではなく、両方を適切に設定・活用することが、成果につながるマーケティングを実現する鍵となります。
とはいえ、初めてペルソナやターゲットを設計する際には、不安や迷いが生じるのも当然です。「設定した内容が合っているか不安」「具体的にどう設計すればいいかわからない」といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そんな方のために、当社では無料相談を実施しています。現状の課題や目的を伺いながら、適切なターゲティングとペルソナ設計の方向性をアドバイスいたします。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社 ウィズ・プランニング 代表取締役
北海道出身北海道留辺蘂町という人口9千人に満たない小さな町を拠点としながら独自の集客方法で、東京・大阪・福岡・名古屋・沖縄、そして海外に至るまで幅広いクライアント層を確立。
そのかたわら、TV/CMなどで活躍している大手上場企業や芸能プロダクションなど、多くのウェブ制作、デザイン業務、にも携わっている。
ホームページの導線設計やLINE公式を活用した集客、マーケティングの仕組み化を得意とする。
趣味はベースギターと一眼レフカメラ、腕時計収集、旅行