マンガでわかる!今回のテーマ
動画で詳しく解説
かつてLINEは「メッセージが確実に届く」という圧倒的な強みで、メールを凌駕する存在となりました。双方向のリアルタイムなやり取り、高い開封率、そして何より「見てもらえる」という確実性。これらがLINEの武器でした。
しかし今、その武器は失われつつあります。LINE公式アカウントの普及により、一方向的な通知が氾濫し、ユーザーは次々とブロックボタンを押しています。平均ブロック率は29.7%、中央値は27.0%という調査結果が示すように、3人に1人近くがアカウントをブロックしている現実があります。
この状況は、かつてメールマガジンが辿った道と酷似しています。不要な通知は迷惑メール同様に扱われ、ブロックされて終わり。LINEはいま、「メール化」という危機に直面しているのです。
本記事では、LINE公式アカウント運用者が直面する現実と、今すぐ見直すべき運用戦略について解説します。
LINE公式アカウントのブロック率から見える危機感
LINE公式アカウントを運用する企業にとって、ブロック率は無視できない指標です。一般的なブロック率の平均は20〜30%程度とされており、30%を超えると注意が必要なレベル、40%を超えると危険水域と言われています。
これは驚くべき数字です。せっかく獲得した友だちの3人に1人が、企業からのメッセージを拒否している状態なのです。さらに深刻なのは、LINEスタンプキャンペーンなどで獲得した友だちの場合、ブロック率が70%と非常に高くなる傾向があるというデータです。
ブロックされる主な理由は明確です。配信頻度が適切でないこと、つまりメッセージ配信の頻度が多すぎる点が最大の要因となっています。ユーザーは毎日LINEを使うからこそ、過剰な通知にストレスを感じやすいのです。
LINEが失った「双方向性」という武器

しかし、LINE公式アカウントの普及により状況は一変しました。企業からの一方向的な配信が増え、ユーザーは「受け取るだけ」の存在になってしまったのです。一方的な情報配信では顧客に情報を届けるだけで反応が不明であり、本来LINEが持っていた双方向性という強みが失われています。
近年、一部で「若年層のLINE離れ」が指摘されており、2024年時点でも10代〜20代の約85%がLINEを利用しているものの、XやInstagramと併用する傾向が強く、情報収集や発信には他SNSを活用し、LINEは「身近な友人との連絡手段」として利用される傾向が強まっています。つまり、若年層にとってLINEは「企業からの通知を受け取る場所」ではなく、あくまで「プライベートな連絡手段」なのです。
この変化が意味するのは、企業の一方向配信がユーザーのLINE体験を侵食しているという事実です。かつてメールボックスが迷惑メールで溢れたように、LINEのトーク画面が企業通知で埋め尽くされれば、ユーザーがブロックボタンを押すのは当然の帰結でしょう。
マーケティングへの具体的な影響

まず、到達率の低下です。ブロック率が30%であれば、配信した10通のうち3通は届きません。さらに、開封率の平均は60%程度とされているため、実質的に配信したメッセージの半分以下しか読まれていない計算になります。
コスト効率の悪化も見逃せません。LINEのメッセージ配信は有料プランでは従量課金制です。ブロックされたユーザーに対してもカウントされる仕組みであれば、無駄なコストが発生し続けることになります。
さらに深刻なのは、ブランドイメージへの悪影響です。ユーザーにとって「うるさい」「煩わしい」と感じられる配信を続ければ、ブランドそのものへの印象が悪化します。一度ブロックされれば、再びコミュニケーションの機会を得ることは困難です。
一方で、成功している企業も存在します。JR東海ツアーズでは、顧客属性や予約履歴に基づいた細やかなセグメント配信や友だち限定のセール配信、LINE上でのアンケート回収やSNSリンク連携も導入し、双方向コミュニケーションを強化した結果、LINE友だち数は導入前の約6.5倍に増加し、LINE経由のツアー予約数も約10倍に急伸しました。この事例が示すのは、一方向配信からの脱却こそが成功の鍵だということです。
今すぐ見直すべきLINE運用戦略

セグメント配信の徹底活用が第一歩です。全員に同じメッセージを送るのではなく、ユーザーの属性や行動履歴に基づいて配信内容を変えることで、一人ひとりに価値ある情報を届けられます。機械学習を用いて初回利用者をリピート利用の可能性でスコアリングしセグメント化することで、高スコアユーザーのクリック率を低スコアユーザーの2倍にすることに成功した事例もあります。
双方向コミュニケーションの復活も重要です。約5人に1人がLINE公式アカウントで再配達依頼などの手続きや、商品・サービスの申込み・購入を経験しており、3人に2人がLINE公式アカウント上でチャットで質問や相談をしたことがある、またはしたいと思っているというデータがあります。単なる配信ツールではなく、ユーザーとの対話の場として活用することで、エンゲージメントを高められます。
配信頻度の適正化も欠かせません。基本的に月に2〜4回が目安とされています。毎日配信するようなことは避け、ユーザーにとって本当に価値ある情報だけを厳選して届けることが大切です。
そして最も重要なのは**価値提供の徹底**です。クーポンや限定情報など、友だちでいることのメリットを継続的に提供することで、ブロックを防げます。友だち限定セールなど「友だちでいるとお得なことがある!」とユーザーに認識してもらえるような工夫が必要です。
まとめ
LINEが「メール化」している現実を直視し、今こそ運用戦略を根本から見直すべき時です。一方向配信から双方向コミュニケーションへの回帰、そしてユーザー視点での価値提供。これらを徹底することが、LINEマーケティング成功の鍵となります。
ブロック率30%という数字は、ユーザーからの明確な警告です。このまま一方的な通知を続ければ、LINEはメールと同じ運命を辿るでしょう。しかし、本来の双方向性を取り戻し、ユーザーにとって価値ある存在であり続ければ、LINEは依然として強力なマーケティングツールであり続けます。
今日から、あなたの会社のLINE公式アカウント運用を見直してみませんか?
北海道留辺蘂町という、人口9,000人に満たない小さな町を拠点に、独自の集客ノウハウと綿密な導線設計により、東京・大阪・名古屋・福岡・沖縄、さらには海外に至るまで幅広いクライアントネットワークを築く。
大手上場企業や芸能プロダクションをはじめ、全国各地の企業・店舗のWebサイト制作やデザイン業務に携わり、「成果につながるマーケティング設計」を強みとしている。
特に、LINE公式アカウントやエルメッセージを活用した自動化導線の構築、WordPressを基盤とした売れるホームページ制作、ユーザー心理に基づくコンバージョン設計(CV導線の最適化)において高い評価を得ている。
「小さな企業でも、正しい戦略と仕組みで全国へ発信できる」ことを信念に、地域密着型の支援と全国展開の両立を実現。デザインとマーケティングを融合したDX推進を通じて、北海道から全国・海外へ価値を届けている。
趣味はベースギターと一眼レフカメラ、腕時計収集、旅行。












