「SEO対策はしっかり取り組んでいるはずなのに、最近どうも手応えがない」

そう感じているマーケティング担当者の方は少なくないのではないでしょうか。それもそのはず、2026年の検索環境は、ほんの数年前とはまるで別物になっています。Googleの検索結果には「AI Overviews(AIによる概要)」が標準的に表示されるようになりました。これは、ユーザーが検索したキーワードに対して、AIが複数のWebサイトから情報を集めて自動的に回答を要約し、検索結果の最上部に表示する機能です。ユーザーはどのサイトにもアクセスせず、この要約だけで答えを得られるようになっています。

Google検索結果画面と円グラフ。63.5%がゼロクリック検索、36.5%がサイトアクセス。実際、国内マーケティング調査会社ヴァリューズの調査では2025年9月時点でゼロクリック率が63.5%に達しています。検索した人の6割以上が、どのサイトにもアクセスしないまま検索を終えている計算です。

こうした変化のなかで、欧米のマーケティング業界ではすでに大きなトレンドになっているのが「GEO(Generative Engine Optimization/生成エンジン最適化)」という考え方です。この記事では、海外で急速に広がるGEO対策の最新動向を、日本の現場で活かせる形に整理してお伝えします。

2026年、SEOが「Google単体」では完結しない時代に突入した

まずは、いま検索の世界で何が起きているのかを整理しておきましょう。端的にいえば、ユーザーの情報収集の方法そのものが変わりました。「キーワードを入力して、青いリンクをクリックする」というこれまでの流れは、もはや主流とは言えなくなっています。

AI概要(AI Overviews)とゼロクリック検索のインパクト

従来のSEOとAI Overviews普及後の検索結果の変化、クリック獲得の困難さとゼロクリック完結を比較した図これまでのSEOでは「検索結果の1位を獲得し、クリックを得る」ことがゴールでした。しかし、AI Overviewsが普及したいま、そのルールが大きく崩れつつあります。

この流れをいち早くデータで示したのが、海外の調査機関です。SparkToroの調査では米国で約58.5%、EU市場で約59.7%の検索がゼロクリックで完結。Ahrefsの調査によれば、AI Overviewsが表示された検索ではCTR(クリック率)が世界平均で58%減少し、日本でも38%減少したと報告されています。

ここから読み取れるのは、ユーザーがWebサイトにたどり着く「前」の段階――AIの回答のなかで自社がどう扱われるかが、ビジネスに直結する時代になったという事実です。「上位に表示されたから安心」という時代は、すでに終わりを迎えています。

TikTok・YouTubeが「第2の検索エンジン」になった背景

Googleロゴ、TikTok、YouTube、口コミサイト、SEO評価向上、信頼性向上のイラスト変化はGoogleの中だけにとどまりません。海外ではすでに「TikTok is the new Google」と言われるほど、若い世代を中心にSNSが検索エンジン代わりに使われています。日本でも、商品のレビューはTikTokで、使い方はYouTubeで、信頼性はSNSや口コミサイトで確認する――そうした行動が広がりつつあります。

注目すべきは、Google自身もこうした外部プラットフォームの情報をスキャンし、信頼性の判断材料に活用している点です。自社サイトの「外側」でどれだけ好意的に語られているかが、回り回ってSEOの評価にも影響してくる。検索最適化の対象が、Google単体からインターネット全体へと広がっているのです。

GEO対策とは? ― 検索エンジンから「生成エンジン」への最適化

従来のSEOとGEO(生成エンジン最適化)の比較図。AIが回答生成プロセスを経て、自社情報・ブランドに影響を与える様子。では、こうした新しい環境に対応するための「GEO対策」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

GEO(Generative Engine Optimization)とは、GoogleのAI OverviewsやChatGPT、Perplexityといった生成AIが回答を生成する際に、自社の情報を正しく拾い上げてもらい、引用・推薦してもらうための施策です。もともとは2023年にアメリカのコーネル大学の研究チームが発表した論文がきっかけで注目され、いまでは欧米のデジタルマーケティング業界で標準的な概念になりつつあります。日本でも電通デジタルが「ユーザーが投げかけた問いに対するAIの回答で、ブランドが適切に語られるようにすること」と定義し、取り組みが本格化し始めています。

従来のSEOが「検索エンジンのランキングアルゴリズムへの最適化」であるのに対し、GEO対策は「AIの回答生成プロセスへの最適化」。似ているようで、求められるアプローチはかなり異なります。

AIに引用されるための「抽出されやすい」コンテンツ構造

人間がウェブページを虫眼鏡で調べる様子と、AIがウェブページから情報を構造的に抽出する様子を比較した図。AIは人間のようにページを俯瞰するのではなく、データを構造的に「抽出」して回答を組み立てます。そのため、AIにとって読み取りやすい形で情報を提供することが重要です。

海外のGEO対策で鉄板とされているのが、結論を先に明示する構成、見出しによる論理的な情報整理、FAQスキーマやHowToスキーマといった構造化データ(JSON-LD=検索エンジンやAIがページの内容を機械的に理解するための記述形式)の実装です。こうした工夫を施すだけで、AIが「ここに答えがある」と判断する確率は大きく向上します。地味に見えるかもしれませんが、これがGEO対策の基本中の基本です。

キーワードではなく「エンティティ」として認知させる

AIがSNS、メディア、Googleビジネスプロフィール等の情報を統合し、ブランド認知を確立する仕組みGEO対策でもうひとつ押さえておきたいのが、「エンティティ(実体)」という考え方です。海外のSEOコミュニティで数年前から重要視されている概念で、AIは単語の羅列ではなく、会社・製品・人物といった「実体」同士のつながりとして情報を整理しています。

たとえば、自社ブランドが「GEO対策の専門家」であることを、自社サイトだけでなくSNS、外部メディア、Googleビジネスプロフィールなど、あらゆる場所で一貫して示し続ける。これにより、AIのなかに「〇〇のことならこのブランド」という確固たるマッピングが形成されていきます。これこそがGEO対策の究極のゴールといえるでしょう。

E-E-A-T強化 ― AIには真似できない「一次情報」と「人間味」の価値

GEO対策を考えるうえで、もうひとつ避けて通れないテーマがあります。それが、Googleの評価基準「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」です。AIが膨大な情報を瞬時に要約できる時代だからこそ、「AIには生み出せないコンテンツ」の価値がこれまで以上に高まっています。

「Experience(実体験)」を組み込むことが最大の差別化に

AIロボットとE-E-A-Tの概念図。人間の活動例も描かれている。E-E-A-Tのなかで、2026年にとくに重みを増しているのが最初の「E」、つまりExperience(経験)です。

欧米のコンテンツマーケティング業界では「AIが書けない記事をつくれ」が共通認識になりつつあります。AIは既存の情報を組み合わせることには長けていますが、「実際に商品を使ってみた結果」「プロジェクトの現場で起きた予想外のトラブルとその解決策」「顧客対応のなかで得た気づき」――こうした生の体験を生成することはできません。

だからこそ、「自社だからこそ語れる話」をコンテンツにどれだけ織り込めるかが勝負になります。具体的な事例、独自の視点、現場のリアルな声。こうした要素を意識的に盛り込むことで、AIとの差別化は大きく前進します。

第一者データ(自社調査・実績)が最強の信頼資産になる

AIがファーストパーティデータを分析し、SEO効果(被リンク増加、権威性向上)に繋がることを示す図解イラスト見逃せないのが、「ファーストパーティデータ」の力です。ファーストパーティデータとは、自社が独自に収集・保有しているデータのこと。たとえば、自社で実施したアンケートの結果、顧客データから導き出した傾向分析、サービス利用者の声をまとめたレポートなどがこれにあたります。

海外の事例を見ると、独自調査を定期的に発信している企業は、AIの回答で参照される頻度が明らかに高い傾向にあります。AIは回答を生成する際、裏付けとなるデータを常に求めているためです。他にはないオリジナルの数字や知見を発信すれば、AIの参照元として選ばれる可能性が高まります。さらに、独自のデータは他メディアからの引用・言及も呼び込むため、自然な形で被リンクが増え、権威性の向上にもつながります。

GEO対策とE-E-A-T強化は、実は表裏一体の関係にあるのです。

マルチチャネル戦略 ― 読者がいる「すべての場所」に露出する

ここまではコンテンツの「中身」を中心にお話ししてきましたが、GEO対策では「どこで発信するか」も同じくらい重要です。ユーザーがWeb上で過ごす時間のうち、検索エンジンに使われるのはわずか10%程度ともいわれています。残りの90%はSNSや動画、ニュースサイトなどに分散しているのが実情です。

SNS・外部メディアを活用したブランド認知の拡大

自社サイトからSNS・外部メディアへ発信し、AIが信頼を判断して信頼獲得に至る流れを示す図かつては「他人のプラットフォーム(借りた土地)に依存しすぎるな」と言われていましたが、GEO対策の観点ではむしろ逆の発想が求められます。ユーザーが集まるSNS(X、Facebook、Instagramなど)や外部メディアで積極的に発信し、ブランドの露出を増やすことが、AIへの強力なシグナルになります。

重要なのは、さまざまなチャネルでブランド名が好意的に言及されている状態を意識的に構築することです。こうした「リンクを伴わなくても、ブランド名がWeb上で言及・引用されている状態」をマーケティング用語で「サイテーション」と呼びます。AIは複数の情報源からブランドの評判を収集し、「信頼に値するかどうか」を総合的に判断しています。ネット上の多くの場所でポジティブに語られている状態をつくることが、AIの信頼を獲得する近道です。

「Search Everywhere」― 動画・SNS・口コミサイトを横断する視点

AIロボットが多様な情報チャネルと連携し、AI経由の流入を拡大させる図。検索エンジン流入の減少も示す。ChatGPTやPerplexityなどのAIツールは、回答を生成する際にWikipediaやYouTube動画、Q&Aサイトなどを頻繁に引用しています。米大手IT調査会社ガートナーは検索エンジン経由のトラフィックが2026年までに25%減少すると予測していますが、そのぶんAI経由の流入は急成長を続けています。

こうした状況を受けて、海外のマーケティング業界で広がっているのが「Search Everywhere Optimization(どこでも検索最適化)」という考え方です。自社サイトを充実させるのはもちろん、YouTubeで専門知識を解説する、noteやはてなブログで業界の知見を発信する、Yahoo!知恵袋のような質問サイトで有益な回答を投稿する。こうした多面的な情報発信こそ、AI時代のGEO対策の真髄です。

2026年のGEO対策は「本質的な信頼構築」のフェーズへ

ここまで、GEO対策を3つの戦略に分けてお伝えしてきました。最後に全体を振り返っておきましょう。

2026年のSEOは、検索順位の争いを超えて、AIと人間の両方から「このブランドなら間違いない」と選ばれるための信頼構築の競争へと進化しました。

この記事でお伝えしたGEO対策のポイントをおさらいすると、まず「AIが抽出しやすい構造と明確な発信」が基盤。そこに「実体験にもとづく独自情報(E-E-A-T)」で差別化を図り、「あらゆるプラットフォームでの存在感(マルチチャネル)」でAIの信頼を獲得する。この3つが噛み合って初めて、GEO対策は本領を発揮します。

これらは一朝一夕で成果が出るものではありません。ただ、海外の動きを見ると、GEO対策に早く着手した企業ほどAIからの引用・露出で大きなアドバンテージを得始めています。こうしたトレンドは遅かれ早かれ日本市場にも本格的に到来します。だからこそ、いまのうちに動き出すことが大きな差につながるはずです。

「GEO対策、何から手をつければいいのだろう」「AI時代のブランド戦略を見直したい」――そうしたお悩みがあれば、ぜひ一度弊社にご相談ください。最新の海外動向と日本市場の実情をふまえ、次世代の集客を一緒に設計していきましょう。

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