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「Webサイトのアクセス数を増やそう」「コンバージョン率を改善しよう」と目標を立てても、具体的に何をすればいいのかわからない。数値目標を追いかけているのに、なぜか成果が出ない――。こんな悩みを抱えるWeb担当者の方は少なくありません。
その原因は、KPI(重要業績評価指標)の設定と運用方法にあるかもしれません。本記事では、KPIの基礎知識から、多くの企業が陥る「なんちゃってKPI」の罠、そしてPDCAではなくPDSサイクルで成果を出す方法まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
1. そもそもKPIとは?なぜ必要なのか

例えば、「今年度の売上を20%アップさせる」という目標を立てたとします。しかし、「売上を上げよう」と言われただけでは、明日から何をすればいいのかわかりません。そこで必要になるのがKPIです。
売上を構成する要素を分解してみましょう。ECサイトの場合、売上は「訪問者数×購入率×平均購入単価」で決まります。この3つの要素のうち、どれを改善すれば最も効率よく売上アップにつながるかを見極め、「月間の新規訪問者数を5,000人増やす」といった具体的な数値目標がKPIになります。
ここで重要なのが、KPIと最終目標であるKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)の関係です。KGIは「売上20%アップ」のような最終ゴール、KPIはそこに至るまでの道しるべとなる中間目標です。適切なKPIを設定することで、日々の業務が最終目標に確実につながるようになります。
2. 多くの企業が陥る「なんちゃってKPI」の4つの症状
KPIを設定していても、それが本当に機能していない「なんちゃってKPI」の状態に陥っている企業は少なくありません。リクルートを売上2兆円企業に導いたKPIマネジメントの知見によると、典型的な失敗パターンは次の4つです。
症状1:数値目標が多すぎる
「とりあえず測れるものは全部測ろう」と、あれもこれもKPIに設定してしまうケースです。Webサイトであれば、PV数、セッション数、直帰率、滞在時間、SNSシェア数など、数十個の指標を同時に追いかけてしまいます。
しかし、管理すべき指標が多すぎると、結局何も管理できていないのと同じです。どの数値を優先すべきか判断できず、チーム全体の焦点がぼやけてしまいます。
症状2:コントロール不能な指標を追っている
GDPや為替レート、競合他社の動向など、自分たちの努力では変えられない数値を目標にしているケースです。
Web担当者でいえば、「検索エンジンのアルゴリズム変更後の順位」など、外部要因に大きく左右される指標だけを追いかけている状態がこれにあたります。現場でコントロールできる指標でなければ、KPIとして機能しません。
症状3:結果指標を選んでいる
「月間のコンバージョン数」のような結果だけを見ていて、その手前のプロセスを測っていないケースです。
問題が起きてから数値が悪化するのでは手遅れです。重要なのは、結果につながる「先行指標」です。例えば、コンバージョンに至るまでの「資料請求数」「商品ページの平均滞在時間」「カート到達率」など、リアルタイムで改善できる指標を設定する必要があります。
症状4:CSF(最重要プロセス)の視点がない
モニタリングしている指標の中に、目標達成の鍵となるプロセス(CSF)が含まれていないケースです。
売上を上げるために最も重要なプロセスが「既存顧客へのアップセル提案」だとしたら、新規顧客獲得数だけを測っていても意味がありません。KPIには必ず、成功の鍵を握るCSFの進捗が反映されている必要があります。
実際によくある失敗例として、「KPIは達成したのにKGI(最終目標)は未達」という本末転倒な事態があります。これは、KPIとKGIが正しく連動していない証拠です。
3. KPI設定の3つの要素:KGI・CSF・KPIの正しい関係
成功するKPIマネジメントには、KGI・CSF・KPIの3つの要素を正しく理解し、連動させることが不可欠です。
KGI(Key Goal Indicator):最終目標
期末に到達したい最も重要な目標数値です。企業全体の利益目標、営業組織の売上目標、事業開発のユーザー数目標などが該当します。Web担当者であれば「Webからの年間問い合わせ件数1,200件」といった目標がKGIになります。
注意点は、ステークホルダー間でゴールの数値と中身の認識を完全に一致させることです。「問い合わせ件数」の定義が人によって違えば、取り組む施策もバラバラになってしまいます。
CSF(Critical Success Factor):最重要プロセス
KGIを達成するために実行すべき「最重要プロセス」です。事業成功のポイントそのものと言えます。
例えば営業組織における「顧客への複数案の提案」活動がCSFになります。Web担当者なら「コンテンツの定期更新」「ユーザー導線の最適化」などが該当するでしょう。
ここでの注意点は、現場で「コントロール可能」なプロセスでなければならないことです。自分たちの努力で実施できないプロセスは、CSFとして機能しません。
KPI(Key Performance Indicator):CSFの数値目標
CSFをどの程度実施すればKGIが達成できるかを示す「CSFの数値目標」であり、「KGIの先行指標」でもあります。
例えば、複数案提案を月33件実施すれば年間の売上目標(KGI)を達成できるなら、「月33件の提案実施」がKPIになります。
重要なのは、KPIを達成すれば、KGIも達成できるという関係性にあることです。この連動性がなければ、KPIを追いかける意味がありません。
これら3点をステークホルダー全員で共有し、実行・改善し続けることが、本物のKPIマネジメントです。また、KPI設定の出発点は、常にKGIの確認であり、そのKGIは自社の方向性を示す「構造」(全体像、メカニズム)と「水準」(数値目標)から導き出される必要があります。
4. なぜPDCAではなくPDSサイクルなのか
多くのビジネス書やセミナーで語られるのは「PDCAサイクル」ですが、KPIマネジメントにおいてはPDCAではなく「PDSサイクル」を回すべきだとされています。その理由を見ていきましょう。
PDCAサイクルの問題点
従来のPDCAサイクルは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の4ステップを回します。一見すると完璧なプロセスに見えますが、実はKPIが一つに絞られていない状態では、現場が複数の推奨策から独自に取捨選択してしまい、混乱を招くリスクがあります。
KPIが複数あると、See(振り返り)の段階で何が成功/失敗の要因だったのかを正しく分析できず、次のPlanに活かせなくなってしまいます。
PDSサイクルの特徴:「Decide(意思決定)」を組み込む
PDSサイクルは、Plan(計画)→Decide(意思決定)→See(振り返り)の3ステップです。ここでのDはDoではなく「Decide(意思決定)」を意味します。
PlanとDoの間に「Decide(意思決定)」を置くことで、計画を実行に移すという強い意志を明確にします。つまり、PDSサイクルでは「やると決めたことを、確実に実行する」という意思決定のプロセスが組み込まれているのです。
交差点の信号のたとえ:「一つ」のシグナルに絞る
KPIマネジメントの要諦は、「一つ」のシグナルに絞ることだとされています。
交差点に進入する前に、見るべき信号が複数あったらどうなるでしょうか? 進むべきか、止まるべきか、判断に迷い、混乱を招くだけです。KPIも同じです。最も重要な数値だけに焦点を絞ることで、組織全体の行動が統一されます。
KPIは「一つであること」が重要であり、それは先行指標でなければなりません。交差点に入る「前」に信号の色が分からなければ意味がないように、未来を予測し、事前に行動を促す数値でなければならないのです。
PDSは計画実行のスピードを重視
PDSサイクルのもう一つの利点は、PDCAよりも迅速にサイクルを回せることです。CheckとActionを一つのSee(振り返り)にまとめることで、評価と改善を同時に行い、次の計画にすぐ反映できます。
特にWebマーケティングのように変化が速い分野では、長々とした評価・改善プロセスを経るよりも、素早くPDSサイクルを回して小さな改善を積み重ねる方が効果的です。
PDSを正しく回すことで、成功要因が「組織知」として蓄積され、全体の生産性が向上します。これが「マネジメントの進化」につながるのです。
5. Web担当者が今日から始められるKPI設定の第一歩
では、KPI初心者のWeb担当者は何から始めればいいのでしょうか? 以下の4ステップで進めてみましょう。
ステップ1:自社のKGI(最終目標)を確認する
まず、Webサイトが達成すべき最終目標を明確にします。「年間の問い合わせ件数」「ECサイトの年間売上」「会員登録数」など、組織として合意されたゴールを確認しましょう。
ステップ2:Webサイトのどのプロセスが最も重要か(CSF)を特定
KGI達成のために、最も重要なプロセスは何でしょうか? 「ブログ記事の定期更新」「ランディングページの改善」「メールマガジンの配信」など、成功の鍵を握る活動を1つに絞ります。
ステップ3:シンプルで覚えやすいKPIを1〜3個設定
CSFの実施状況を測る数値目標を設定します。重要なのは、複雑な計算式ではなく、現場のメンバー全員が理解できるシンプルで記憶しやすい数値目標にすることです。「月間の新規記事公開数10本」「資料請求ページへのアクセス数500件」など、具体的な数字を決めましょう。
ステップ4:PDSサイクルで素早く回し、改善を積み重ねる
KPIを設定したら、まずは1ヶ月間のPDSサイクルを回してみます。Plan(計画)で施策を決め、Decide(意思決定)で実行を約束し、See(振り返り)で結果を評価します。完璧を目指す必要はありません。小さく始めて、サイクルを回すことに慣れることが大切です。
まとめ
KPI設定は難しいものではありません。まずは「一つ」の重要な指標から始めることが成功への近道です。
しかし、自社のWebサイトが適切なKPIを設定できているか、本当にビジネス目標につながる指標を追いかけているか、不安を感じる方もいるでしょう。
そんな方のために、私たちは無料のWebサイト診断サービスを提供しています。現状のサイト分析から、適切なKGI・CSF・KPI設定まで、専門家がサポートします。
Webサイトを「なんとなく運用」から「成果を生む仕組み」に変えたい方は、ぜひ一度ご相談ください。正しいKPI設定が、あなたのWeb戦略を大きく変えるきっかけになるはずです。
ホームページにおける導線設計の専門家
北海道留辺蘂町という、人口9,000人に満たない小さな町を拠点に、独自の集客ノウハウと綿密な導線設計により、東京・大阪・名古屋・福岡・沖縄、さらには海外に至るまで幅広いクライアントネットワークを築く。
大手上場企業や芸能プロダクションをはじめ、全国各地の企業・店舗のWebサイト制作やデザイン業務に携わり、「成果につながるマーケティング設計」を強みとしている。
特に、LINE公式アカウントやエルメッセージを活用した自動化導線の構築、WordPressを基盤とした売れるホームページ制作、ユーザー心理に基づくコンバージョン設計(CV導線の最適化)において高い評価を得ている。
「小さな企業でも、正しい戦略と仕組みで全国へ発信できる」ことを信念に、地域密着型の支援と全国展開の両立を実現。デザインとマーケティングを融合したDX推進を通じて、北海道から全国・海外へ価値を届けている。
趣味はベースギターと一眼レフカメラ、腕時計収集、旅行。





















