漫画で分かる!今回のテーマ
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あなたは、次のどちらに当てはまりますか?
A:「安売りなんて、利益を削るだけでしょ?」
B:「売れないから、安売りするしかないんだよね…」
実は、どちらの考え方にも「落とし穴」があります。
Aタイプの方は、安売りを全否定するあまり、戦略的な値下げで得られるはずのチャンスを逃している 可能性があります。一方、Bタイプの方は、安売りに頼りすぎて 「値下げ以外の打ち手がない」状態に陥っている かもしれません。
この記事では、売上を「1回の取引」という「点」ではなく、「顧客との継続的な関係」という「線」で捉える考え方をご紹介します。安売りのベストなタイミングと価格戦略の本質を理解することで、「損して得取れ」を正しく実践できる ようになるはずです。
「安売り否定派」と「安売り依存派」、どちらも陥りがちな罠
価格設定に対するスタンスは、大きく2つに分かれます。安売りを避ける人と、安売りに頼る人。一見すると正反対ですが、実はどちらも同じ落とし穴にはまっています。それは 「価格を戦略的に使えていない」 ということ。まずは、それぞれの問題点を整理してみましょう。
安売り否定派が見落としていること

しかし、すべての値下げを避けていると、新規顧客との接点を作る機会を逃してしまいます。特に新規オープン時や閑散期など、「まずは体験してもらう」ことが重要な場面では、適切な値引きが強力な集客ツールになります。
安売りを否定するあまり、広告費ばかりかさんで顧客が増えない——そんな状況に陥っていないでしょうか?
安売り依存派が気づいていないこと

値下げすれば確かに売れます。しかし、安売りでしか売れない状態は、ビジネスとして非常に危険 です。利益率は下がり続け、「セールの時しか買わない」顧客ばかりが増え、通常価格では見向きもされなくなる——典型的な「セール依存症」の症状です。
安売りに頼りすぎると、商品やサービスの本質的な価値を高める努力を怠りがちになります。「なぜ売れないのか」を価格以外の視点で分析することなく、値下げという「楽な解決策」に逃げてしまうのです。
本当に避けるべきは「戦略なき値下げ」

それは、「安売りそのものが良い・悪いではなく、戦略があるかどうかが問題」 だということ。
なんとなく売れないから値下げする、競合が安いからうちも下げる、逆に、なんとなく値下げは嫌だから避ける——こうした場当たり的な判断が、ビジネスを苦しくする原因です。
大切なのは、「いつ」「なぜ」「どれくらい」値下げするのかを、明確な目的を持って決めること。これができれば、安売りは利益を削る行為ではなく、将来の利益を生み出す「投資」に変わります。
売上を「点」ではなく「線」で考えるとは?
安売り否定派も依存派も、共通して欠けているのが 「長期的な視点」 です。目の前の1回の取引だけを見るのではなく、顧客との関係全体を見渡す。この視点の転換が、価格戦略を根本から変えてくれます。ここでは、売上を「線」で捉えるための考え方と、それを裏付けるマーケティング理論をご紹介します。
「点」思考と「線」思考の違い

一方、売上を「線」で考えるとは、顧客との長期的な関係を見据える考え方 です。「この顧客は今後何回来店してくれるか」「生涯でどれだけの売上をもたらしてくれるか」という視点です。
たとえば、初回来店のお客様に500円の割引をしたとします。「点」で見れば500円の損失です。しかし、その顧客がその後10回リピートし、合計5万円の売上をもたらしてくれたらどうでしょうか。最初の500円は、5万円を生み出すための「投資」だったと言えます。
LTV(顧客生涯価値)という考え方
この「線」思考を数値化したものが、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値) です。LTVとは、ある顧客が取引を開始してから終了するまでの期間に、自社にもたらす利益の総額を指します。
LTVの基本的な計算式は以下の通りです。
LTV = 顧客単価 × 購入回数 × 継続期間

この視点を持つと、初回の値引きは「顧客獲得コスト」として正当化できる ことがわかります。新規顧客の獲得にはコストがかかるものです。それが広告費であれ、初回割引であれ、将来のLTVで回収できるなら、十分に意味のある投資なのです。
「1:5の法則」が示す既存顧客の価値

つまり、同じ売上を上げるなら、新規顧客に販売するよりも既存顧客にリピートしてもらう方が、はるかに効率的なのです。さらに 「5:25の法則」 によれば、顧客離れを5%改善するだけで、利益は25%以上改善されると言われています。
これらの法則が示すのは、「一度つながった顧客を大切にすることが、ビジネスの安定と成長の鍵」 だということ。
安売り否定派の方は、この「つながり」を作るための戦略的な値下げの価値を理解してください。安売り依存派の方は、せっかく安売りで獲得した顧客を「線」でつなぎ、リピーターに育てる視点を持ってください。
「損して得取れ」が効く!安売りの正しいタイミング5選
では、具体的にどんなタイミングで安売りを行えば効果的なのでしょうか。ここでは、戦略的な値下げが特に有効な5つのシーンをご紹介します。
1. 新規オープン時の集客

なぜなら、まずは「知ってもらう」「来てもらう」「体験してもらう」ことが最優先 だからです。どれだけ素晴らしい商品やサービスを持っていても、お客様に体験してもらわなければ価値は伝わりません。
オープン記念の初回割引や、お試し価格の設定は、体験のハードルを下げる効果があります。「この価格なら試してみようかな」という心理を活用することで、将来のリピーター候補を効率的に集められます。
ここで大切なのは、初回の体験で確実に満足してもらうこと です。安売りで来店しても、商品やサービスの質が低ければリピートにはつながりません。むしろ「安かろう悪かろう」という印象だけが残ってしまいます。
安売り依存派の方へ:オープン時の値引きは「一時的な投資」です。いつまでも同じ割引を続けるのではなく、期間を区切って通常価格に戻す計画を立てましょう。
2. ECサイトのセール戦略

ブラックフライデーやサイバーマンデー、季節ごとのセールイベントは、普段は自社サイトを訪れない層にもリーチできるチャンスです。セールをきっかけに初めて購入した顧客に対して、購入後のフォローメールや次回使えるクーポンを送ることで、2回目、3回目の購入につなげられます。
ただし、ECサイトのセールで注意すべきは 「安売り慣れ」の防止 です。頻繁にセールを行いすぎると、「どうせまた安くなるから今は買わない」という心理が生まれてしまいます。限定感や期間設定を明確にし、「今買わないと損」という適度な緊急性を演出することが大切です。
安売り否定派の方へ:ECでは「セールに参加しない」という選択が、かえって機会損失になることも。年に数回の大型セールは、新規顧客獲得の投資と割り切って参加を検討してみてください。
3. 閑散期対策

「売上ゼロよりは、薄利でも売上があった方がいい」という考え方もありますが、それ以上に重要なのは 「顧客接点を作る価値」 です。閑散期に初めて来店した顧客は、繁忙期のリピーターになる可能性を秘めています。
たとえば、飲食店であれば平日限定のランチセットや、ハッピーアワーの設定。宿泊施設であれば、オフシーズン限定の連泊割引などが考えられます。閑散期に来てくれた顧客に満足してもらい、次回は通常価格でも来店してもらえる関係を築くことが目標です。
安売り依存派の方へ:閑散期の値引きは、繁忙期のリピーターを育てるための「種まき」です。閑散期だけでなく、繁忙期も同じ割引を続けていませんか?メリハリをつけることで利益率を改善できます。
4. 在庫処分・キャッシュフロー改善

在庫処分のための値下げは、一見すると「損」に見えます。しかし、売れない在庫を抱え続けるコストと、値下げによる損失を比較する ことが重要です。多くの場合、早めに値下げして現金化した方が、トータルでは得になります。
また、「売り切る力」もビジネスにおける重要なスキルです。在庫を適正に管理し、必要に応じて価格調整できる柔軟性は、健全な経営の証とも言えます。
安売り否定派の方へ:「定価で売れなかった」というプライドが、在庫を抱え続ける原因になっていませんか?在庫処分の値下げは「負け」ではなく、キャッシュフローを守る「経営判断」です。
5. 季節商品の売り切り

シーズン終盤の値下げは「損」ではなく、「価値の最適化」 です。来シーズンまで持ち越せば、流行の変化や経年劣化で、今季以上に価値が下がる可能性があります。売れるうちに売り切って現金化し、次の仕入れや投資に回す方が賢明です。
季節商品の値下げでは、タイミングの見極めが特に重要 です。早すぎれば通常価格で売れたはずの利益を逃し、遅すぎればさらに大幅な値下げが必要になります。過去のデータを分析し、最適なタイミングを見つける努力が求められます。
安売りで失敗しないための3つの注意点
戦略的な安売りも、やり方を間違えれば逆効果になります。以下の3点に注意して実践してください。
値下げの「理由」を明確に伝える

「オープン記念」「在庫一掃セール」「季節の変わり目のため」など、値下げの理由を明確に伝えることで、お客様は安心して購入できます。理由があれば「今だけお得」という限定感も伝わり、購買意欲を高める効果もあります。
頻度とタイミングをコントロールする

セールは「特別なもの」であり続けることが大切 です。年に数回の決まったタイミングで行う、会員限定で行うなど、希少性を保つ工夫をしましょう。また、値下げ幅もコントロールが必要です。毎回同じ割引率ではマンネリ化するため、目的に応じてメリハリをつけることをおすすめします。
ブランドイメージを守る線引きを決めておく

たとえば、定番商品や看板商品は通常価格を維持し、シーズン落ちや限定品をセール対象にするといった棲み分けです。価格に関するポリシーを明確にしておくことで、社内での判断もブレなくなります。
「線」で売るために今日からできること
最後に、売上を「線」で考えるために、今日から実践できることをご紹介します。
自社の顧客LTVを把握する
まずは、自社の顧客LTVを計算してみましょう。顧客単価、購入頻度、継続期間のデータを集め、「1人の顧客が生涯でいくらの利益をもたらすか」を数値化します。
LTVが分かれば、新規顧客獲得にいくらまでコストをかけてよいか の判断基準ができます。たとえばLTVが10万円なら、その3分の1程度(約3万円)までは顧客獲得コストとして許容できると言われています。
価格戦略を「コスト」ではなく「投資」として考え直す
値下げを「利益の減少」ではなく 「将来の利益を生むための投資」 として捉え直してみてください。初回割引は顧客獲得投資、閑散期のセールはリピーター育成投資、在庫処分はキャッシュフロー改善投資——このように考えると、価格戦略の幅が広がります。
安売り否定派の方は、「投資」として値下げを検討する視点を。安売り依存派の方は、「投資対効果」を意識して、回収できる値下げかどうかを判断する習慣を身につけてください。
迷ったらプロに相談するのも一つの手
価格設定は、ビジネスにおいて最も難しい判断の一つです。高すぎれば売れず、安すぎれば利益が出ない。そのバランスは、業種や商品、ターゲット顧客によって千差万別です。
「自社に最適な価格戦略が分からない」「安売りすべきか迷っている」という方は、専門家に相談することで、客観的な視点と具体的なアドバイスを得られます。
まとめ
安売りは、「全否定」も「依存」も間違い です。大切なのは、1回1回の取引という「点」ではなく、顧客との長期的な関係という「線」で売上を捉え、戦略的に値下げのタイミングを見極めること。
新規オープン時の集客、ECサイトのセール、閑散期対策、在庫処分、季節商品の売り切り——これらのタイミングでの戦略的な値下げは、将来のリピーター獲得やキャッシュフロー改善につながります。
ただし、値下げには「理由の明確化」「頻度のコントロール」「ブランドイメージの維持」といった注意点もあります。これらを押さえた上で、自社に合った価格戦略を構築していきましょう。
「損して得取れ」は、決して場当たり的な安売りを推奨する言葉ではありません。長期的な視点を持ち、戦略的に「損」を選ぶことで、より大きな「得」を手にする という、ビジネスの本質を表した言葉なのです。
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