「カップヌードルでチャーハン!?」 SNSでそんな投稿を見たこと、ありませんか?

実はこれ、日清食品が公式に公開している”アレンジレシピ”のひとつです。「お湯をかけるだけ」で完結するはずのカップラーメンを、あえてフライパンで炒めてチャーハンにしてしまう。なんとも遊び心のある発想ですが、実はこのレシピ、単なるネタではなく緻密に計算されたマーケティング戦略なんです。
最近では、食品メーカーや飲料メーカーがこぞって「アレンジレシピ」「裏技レシピ」を発信しています。カルピスをヨーグルト風に使う提案や、冷凍食品のアレンジ術なども同じ流れです。なぜ企業は、わざわざ商品の”別の使い方”を紹介するのでしょうか?
そこには、「既存商品の新しい魅力を再発見してもらう」という明確な狙いがあります。本記事では、日清食品のアレンジレシピを例に、“レシピ公開”という一見地味な施策が、実は強力なマーケティング手法になっている理由を解説していきます。
なぜレシピ公開がマーケティングになるのか?

一見ただの「おまけコンテンツ」に見えるアレンジレシピ。でも、実はこれが非常に戦略的なマーケティング施策なのです。
人は新しい使い方を知ると、つい「やってみたい」と思うもの。特に食べ物の場合、「想像できる味」よりも「ちょっと意外でおいしそう」な提案に弱いですよね。たとえば、日清の「カップヌードルチャーハン」を見た人の多くが、「そんな使い方あるの!?」から「家にあるからやってみよう!」という流れで自然に購入・消費につながります。つまり、アレンジレシピは購買意欲を刺激するストーリー作りなのです。
商品の価値は、スペックだけで決まるわけではありません。「どんな場面で」「どう楽しめるか」という利用シーンの広がりが、ブランド価値を押し上げます。レシピを通じて企業が伝えているのは、「うちの商品は、使い方次第でこんなに楽しいよ!」という”可能性”です。
これが、商品リピート率の向上やファンづくりにもつながります。
この考え方は、食品業界に限りません。コーヒー会社が「アイスアレンジ」や「お菓子づくり」を提案したり、文房具メーカーが「手帳のデコり方」を発信したり、化粧品ブランドが「メイクの裏技動画」を出したり。すべて同じ構造です。つまり「商品そのもの」ではなく、「商品を通じた体験」を売っているということなんです。
日清のアレンジレシピがスゴい理由

「カップヌードルチャーハン」を最初に見たとき、多くの人が「ネタっぽい」「冗談かと思った」と感じたはず。でも実は、この”遊び心”こそが戦略の要なんです。
このレシピ、見た目が美味しそうなだけでなく、誰でも簡単に再現できるのがポイントです。「カップヌードル」と「ご飯」と「卵」。家にあるものだけでできるから、ハードルがとても低い。
つまり、「やってみたい」から「できそう」、そして「投稿したい」という流れを自然に生む構造なんです。この再現性と手軽さが、SNS拡散のエンジンになっています。
日清の公式サイトを見ても、「誰でも」「すぐに」「楽しく」作れるトーンでレシピが書かれています。つまり、「完璧な料理」ではなく「ちょっと雑でもOK」という親近感マーケティング。この”ゆるさ”が、まさに現代の消費者心理にマッチしているんです。「頑張らなくてもおいしい」は共感され、拡散されやすいのです。
レシピを見たユーザーは、実際に作ってSNSに投稿します。しかもその投稿が「#日清チャーハン #カップヌードルアレンジ」などのタグ付きで拡散される。これは日清がユーザー生成コンテンツを意図的に生む設計をしている証拠です。
広告を出さなくてもファンが勝手に宣伝してくれる状態。SNS時代の理想的な構造ですね。
日清といえば、もともとユーモアあふれる広告で知られています。このアレンジレシピも、まさにそのブランドDNAを体現しているもの。「日清=おもしろい」「日清=自由な発想」というブランドイメージを、商品を使った”体験”を通じて自然に再インストールしているのです。
自社でも活かせる! アレンジ提案のマーケ術

そう感じる方も多いかもしれません。でも実は、アレンジ提案はどんな企業でも実践可能なマーケティング手法なんです。
まず考えるべきは、「この商品、ほかにどんな使い方ができるだろう?」という視点です。コーヒー豆なら冷たいスイーツや料理のソースに応用できるかもしれません。ハンドクリームは香りを楽しむルームフレグランス代わりになるかもしれない。雑貨ならデスクの整理収納アイテムとして再提案できます。「意外だけどできそう!」という発見があると、人は強く反応します。これは”新しい価値”を生み出す立派なプロモーションです。
アレンジ提案の成功には、3つの共通点があります。思わず「えっ、そんな使い方あるの!?」と感じる意外性、誰でもすぐ試せる簡単さ、そしてSNSに投稿したくなる”見た目”や”ネタ感”というシェア性です。この3つが揃うと、広告費をかけなくても自然と拡散されます。まさに「日清チャーハン」がその代表例ですね。
大手のように大規模キャンペーンができなくても、”等身大の発信”で共感を得ることは可能です。社員が考えた「裏技レシピ」や「自社商品の活用術」を投稿したり、お客さんのアイデアを紹介して「みんなでつくる」ストーリーにしたり。このように、”人”や”ストーリー”を絡めた発信にすることで、フォロワーとの距離がぐっと縮まり、ファンが自然と拡散してくれます。
本質的には、「アレンジ=再定義」です。一度世に出た商品でも、使い方や見せ方を変えるだけでまったく新しい価値が生まれます。つまり、アレンジ提案とは商品の寿命を延ばすマーケティング。限られたリソースでもできる、”コスパ最強の戦略”なんです。
あなたの商品にもひと工夫の余地あり!

日清の「カップヌードルチャーハン」レシピは、一見ユーモラスで軽い企画に見えます。でもその裏には、「新しい使い方を提案することで、商品の価値を再定義する」という明確な戦略がありました。
レシピ公開は「購入動機を増やす」マーケティング施策であり、”意外性×簡単さ×共感”がSNS時代にマッチしています。ユーザー投稿を自然に誘発する導線が作られており、ブランドイメージを「体験」を通じて再認識させる力があります。
つまり、アレンジレシピは「ファンを増やしながら売上にもつながる」、非常に効率的なマーケティング手法なんです。
中小企業や個人でも、この考え方は応用できます。商品の使い方を少し変えるだけで、新しい魅力が生まれ、話題のきっかけになります。
今日からできること: あなたの商品を「別の角度」で見てみましょう。「どんな使い方をしたら面白いか?」「お客さんが思わず試したくなる工夫はあるか?」
その”ひと工夫”こそが、次のヒットを生む種になります。
この記事が、あなたのビジネスに新しい視点をもたらすヒントになれば幸いです。小さなアイデアから、大きな変化が生まれることもあります。まずは一歩、試してみてください。
北海道留辺蘂町という、人口9,000人に満たない小さな町を拠点に、独自の集客ノウハウと綿密な導線設計により、東京・大阪・名古屋・福岡・沖縄、さらには海外に至るまで幅広いクライアントネットワークを築く。
大手上場企業や芸能プロダクションをはじめ、全国各地の企業・店舗のWebサイト制作やデザイン業務に携わり、「成果につながるマーケティング設計」を強みとしている。
特に、LINE公式アカウントやエルメッセージを活用した自動化導線の構築、WordPressを基盤とした売れるホームページ制作、ユーザー心理に基づくコンバージョン設計(CV導線の最適化)において高い評価を得ている。
「小さな企業でも、正しい戦略と仕組みで全国へ発信できる」ことを信念に、地域密着型の支援と全国展開の両立を実現。デザインとマーケティングを融合したDX推進を通じて、北海道から全国・海外へ価値を届けている。
趣味はベースギターと一眼レフカメラ、腕時計収集、旅行。

















